グルジア文字 (ქართული ანბანი) は、グルジアの公用語であるグルジア語を書き表すために用いられる文字であります。アブハズ語、オセット語の表記のために用いられていたこともあります。
グルジア文字がいつどのようにして生まれたのかについて、詳しいことは明らかでありません。11世紀に書かれたグルジアの年代記では、紀元前3世紀のグルジア王パルナヴァズ がグルジア文字を創ったと伝えているが確証はありません。
グルジアでキリスト教が国教化された4世紀に聖書などをグルジア語に翻訳するために創りだされたとする説が有力であります。文字の順序や、本来ならばグルジア語の表記には不要な文字が含まれギリシア文字に対応するべき位置にあることなどから、ギリシア文字を参考に創られたと推定されます。また、円弧と直線の組み合わせという原則に忠実に創られていることから、別の文字が形を変えたものではなく、独自に創りだされたようであります。
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グルジア文字が記されたもので、現在知られている限り最も古い例は、パレスティナのベツレヘム付近の教会で発見された、430年ごろに書かれたと推定される碑文であります。グルジア国内では、トビリシから南に30Kmほどのところにあるボルニシ のシオニ 教会の碑文が最も古く、5世紀末のものと考えられています。しかし、近年になってグルジア国内で4世紀よりも前に書かれた可能性のある碑文が発見され、成立の時期についての議論が起きています。
グルジア文字は歴史的に2度大きく形を変えました。9世紀ごろまでに用いられていた文字は、ムルグロヴァニ(「丸文字」)と呼ばれました。9世紀から11世紀にかけては、ヌスフリ(「目録文字」)と呼ばれる形が用いられました。11世紀以降、ムヘドルリ(「戦士文字」)と呼ばれる形が現在に至るまで使用されています。
文法
3種類の文字とも38文字から成るが、現在、そのうち5つは用いられていません。使用されている33文字のうち、5つが母音、28が子音を表す表音文字であります。文字とグルジア語の音素が完全に対応し、きわめて整った正書法を可能にしています。
反面、文法は複雑であります。動詞は主語と目的語の両方の人称によって変化し、主語や目的語を表す名詞は動詞の時制によって変化します。
グルジア文字
ა -a ბ -b გ -g დ -d ე -e ვ v ზ -z თ -th ი -i კ -k ლ -l მ -m ნ -n ო -o პ -p ჟ -jh რ -r ს -s ტ -t უ -u ფ -ph ქ -kh ღ -gh ყ -q შ -sh ჩ -ch ც -c ძ -dz წ -c. ჭ -ch. ხ -x ჯ -j ჰ -h
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